「そうだったのか!、中国」

この連休中はこの本に没頭してました。例のセンカク問題がきっかけでした。

 

毛沢東が新生中華人民共和国の宣言をしたのが1949年。私が生まれた年だ。この時から、毛沢東の「大躍進政策」。そしてあの「文化大革命」。そして、鄧小平にひきついで1989年の天安門事件。その後の驚異的な経済発展までの60年間の中国の歴史を池上流の「わかりやすい」筆致で紹介している。

 

読み終わっての率直な感想は、自分のこれまでの中国について不勉強だったこと、そして中国の指導者の権力闘争に翻弄されてきた中国人民の憐れさ、だった。

 

 

近代史と言うものは中学、高校の世界史の時間でも三学期になって授業時間がたりなくなり急ぎ足で通り過ごしてきた。こんなことであまり馴染みがないものだ。中国の現代史について言うと高校生のころに新聞で見かけた紅衛兵の写真を思い起こす。

 

そして何よりも印象が深いのは天安門広場で学生を弾圧した事件。これも戦車の前に素手で立ちはだかる一人の若者の写真を鮮明に覚えている。この事件のほんの三か月後に仕事で北京を訪れたことがある。当時はまだ天安門広場には警備の人民解放軍、警察が大勢いた。そして、周辺の建物はまだそまつなものだった。狭い路地にはゴミが散乱し、建物の中のトイレには囲いがなかったのを覚えている。そんな歴史的な事件の現場を訪れてもその当時はその重要性はあまり理解できてなかった。恥ずかしい限りである。

 

その北京にはオリンピックの前に行ってみてその変貌ぶりにおどろいたものだ。まさに権力による強制的な開発だった。中心部は高層ビルが建っているが中心をはずれた地区の各建物は通りに面している部分だけを化粧直ししたような修繕を施していた。

 

2000年初めになってから仕事で上海には時々出かけてきたが訪れるごとに新しい建物ができていた。確かにものすごい経済発展をしてきたことはよく分かる。

 

 

それもこれも共産党一党独裁のもとでの強権的な社会主義市場経済のたまものだ。それもいろいろな犠牲の上に成り立っている。地方農民と都市住民との格差、自然破壊。。。。。

 

題名の通り、「そうだったのか!」と言うことが多数あった。役に立ちました。それでもあのセンカクはどのように処理したらいいのか難しい問題です。石原さんがちょっと強気に出すぎたかも知れないし、民主党の中国とのパイプが細すぎるかも知れないし。国と国との関係は法律とかの理屈で解決しない点が多いのでやっかいだ。

 

こうした外交問題とは別に個人的には来週から一週間仕事で来日する中国人とどのようにつきあったらいいのかが気になる。センカクの問題を話題に出していいものか。あれだけ騒いでいるのに出さないのも不自然だし。