千曲川、飯山線沿線の自転車旅は走り下るだけでした

映画「阿弥陀堂便り」のセット
映画「阿弥陀堂便り」のセット

9月8日。前日の渋峠の疲れが少し残る中、旅館を出発。宿の若主人がいろいろと道案内をしてくれた。宿にあったパンフレットを見るとここ飯田市の紹介、観光案内があった。例外なく高齢化、過疎化はここにも押し寄せてきており市内のお店もシャッターが下りているのが多い。そんな中で活性化させようとするいろいろな試みをしている姿がよく見える。仏壇通りの統一した雁木、中央通りには貸自転車のセンター、アンテナショップ、イベント広場、、、、いろいろな企画を試みているようだ。

地震によっていっせいに北を向いた地蔵
地震によっていっせいに北を向いた地蔵

パンフレットには各地区の観光案内が詳しく書かれていたがその中で、棚田そして映画「阿弥陀堂だより」の撮影場所となったことで有名になった福島地区が目に留まった。棚田は日本百選にも選ばれているとか。そしてその棚田の奥にある阿弥陀堂。これはあくまでも映画「阿弥陀堂だより」のセットとして作られたらしいが実に風情のあるお堂でいまもそのまま残っている。残念ながらこの映画は見たことがないが、パニック障害になった女医さんがご主人と共にこの地に移ってこのお堂で暮らす「おうめ」さんとの交流を描いたものらしい。そのお堂に興味を持ったので出発してすぐにここに立ち寄ってみた。棚田なので高いところにあり多少の登りを覚悟して出かけたがなんと200mを一気にのぼる激坂だった。15%くらいか。途中、道の両脇には農家の家があり自転車で登っていく私をみて驚いていた。地元の方々は自転車では登らないでしょう。棚田に着くと前に中年カップルが歩いていた。追い越す時には「自転車でも登れるんですね」とかわされた。こちらは汗びっしょり、息も荒い。
それでもその努力に十分に報いてくれるような景色が広がっていた。棚田には稲が実っており刈り取りまでを待っていた。そしてその阿弥陀堂。しずかに佇んでいる様が数百年を経た建物のようだ。周囲のお花畑、棚田に溶け合っている。
    
映画の主人公は千曲川を望むこうした風景に癒されていたのだろうか。路傍の千手観音像は昔からのもの。映画のセットではない筈。
  
その後は千曲川に沿って走る県道408を主体に走った。飯山市からは飯山線、国道117、県道403、そして千曲川が東に向かって小千谷まで続く。国道はトラックが頻繁に走るのでここを避けて県道を走った。
千曲川はあくまで悠々と流れている。県道はこの川に沿ってあり時々飯山線と交わる。対岸には国道が見える。
3.11の大地震の翌日にはこの辺でも大きな地震があり特に隣の栄村では多くの被害を受けた。その時に県道わきにある六地蔵が一斉にその向きを変えたと評判になった。台座に固定されている一体を除いて6体がそれまでの南向きからそろって栄村のある東に向いた。この日も数人の見物客が来ていた。この地区はそれほどの被害がなく、地元ではこの地蔵が守ってくれたと評判とか。
よく見るとこのお地蔵さん、かわいい顔をしている。
    
県道をどんどん進む。静かな道だ。この辺はあくまでも豪雪地帯。時折登場する集落はどの家も雪に備えた姿をしている。
国道は地震から完全に復旧しているが県道はところどころで工事中だった。完全に通行不能箇所が一か所ありそこは国道に逃れた。その他にも工事中の箇所が二か所あったが自転車を押して突破した。
 
栄村は我が武蔵村山市の姉妹都市の関係がある。地震のあとは東北地方への援助とともに市として栄村への義捐金を贈ったものだ。そんなことがるので思い入れがある。ここの道の駅では食事をして少しでもお金を落としたつもり。栄村産の物産を購入しよとしたが残念ながら欲しいものがなくあきらめた。並んでいるものは他の市町村産でした。すぐ隣にあり津南町の道の駅はそれなりのいろいろな津南産の品があった。
津南町から十日町市に入るころは国道を走るようになった。ここは道が広く路肩が十分にあるので安心して走れた。しかも延々と続く下り基調の道。この日はあくまでも下りの一日だ。
十日町市までくると立派な街になる。つまり普通の街だ。こうなるとひたすら目的地を目指して走るのみ。小千谷駅を目指して走って午後3時ころに到着。
標高が下がると暑い。陽射しが強く大いに日に焼けた一日だ。
これで千曲川沿線の旅もおしまい。ちなみに、千曲川は新潟県に入ると信濃川になるそうだ。つまり、栄村までが千曲川、その隣、津南町からは信濃川になるわけだ。
毎年、春と秋には4日間くらいの自転車旅をしてきたがことしはこの二日間だけ。それでも十分に楽しい旅だった。
通常、大きな川に沿って鉄道があり、そこには旧道とそして新道が走っていることが多い。旧道だけの場合も多い。川に沿った道は川の下流に向かって走ると基本的に下り基調。小さな登りがあったとしてもあくまでも下りだ。この原則を守っていつも自転車で走るコースを考えている。昨年の秋は只見線、只見川にそって下流に向かった走った。途中までしか走っていないがここも下り基調。直江津までの日本縦断の場合は千曲川の上流である小諸付近から飯山まで下った。